記述的な有限標本監査 · 奇数加速コラッツ

コラッツ軌道の前半から見えるWaiting Hall分類

前半の指標を比較 → 現在値の影響を確認 → 後ろの有限区間で観測された動きと照合

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コラッツ予想の数の動きについて、前半だけを見ても、その後の動きに何か違いが出るかを調た。

見つかったこと

前半で、数がどれくらい上がったり下がったりしたかを見た。すると、その後しばらくの動きにも少し違いがあった。

ただし、前半だけで後の動きを正確に当てられたわけではない。違いが見えた部分もあれば、よく分からなかった部分もあり。

すべての数を調べた結果でも、「なぜそうなるか」を発見した結果でもない。今回調べた範囲で見つかった観察である。

ここまでが短い説明となる。次の「調査の要約」から、使った指標・数値結果・限界・CSVへ順に深くなる。

02調査の要約

この調査を一言で

軌道の前半で、開始時よりどれくらい上がったか、または下がったかを見ると、その後の短い区間の動きにも違いが見られた。

この調査では、3つの小さな監査を行った。
第一に、軌道の前半から得られる3つの記述子を比較した。その結果、cumulative_log_drift が、調べた5つの未来指標すべてに対して最も強い対応を示した。
第二に、この対応が、現在値 n_t を共通の基準に使ったために生じた見かけの結果ではないかを調べた。その結果、future_net_log_changefuture_max_log_drawdown では、共通基準だけでは説明できない対応が残った。
第三に、軌道の前半から得られた情報を、同じ軌道の後ろの有限区間で観測された動きと比較した。その結果、後ろの区間で下降傾向を示した一部の軌道には、前半にも対応する特徴が見られた。この限定的な対応を、partial_prefix_shadow(前半に現れる部分的な影)と呼ぶ。

後ろの有限区間で観測された動きには過去のWaiting Hall分析データを使用。

ここで示しているのは有限データ内で観測された対応であり、証明、収束予測、因果機構の提示ではない。

この結果から言えること

軌道の前半を調べたデータと、同じ軌道の後ろの有限区間で観測された動きを照合した。その結果、後ろの区間で下降傾向を示した軌道では、前半の cumulative_log_drift と、その後の future_net_log_change の両方が低かった。

つまり、後ろの区間で見えた動きの一部は、軌道の前半にも弱い形で現れていた。ただし、future_max_log_drawdown では同じ対応が明確ではなく、比較できたデータも一部に限られる。

03何と何を比較したか

表1 · 比較の3つの側
計算に使う情報
軌道の前半から計算する指標 cumulative_log_drift, above_start_dwell, record_age n0 … nt のみ。最終的に1へ到達するかなどの終端情報は使わない
後ろの有限区間で測る指標 future_net_log_change, future_max_log_drawdown, future_record_update, future_above_start_dwell, future_drop_below_start 未来窓 nt+1 … nt+H のみ
後ろの有限区間で観測された動きによる分類 過去のWaiting Hall分析で付けたラベル(trajectory_behavior_class, near_behavior, waiting_class, position_label 後ろの有限区間をもとに作られた既存分類。本監査ではラベルを付け直していない

後ろを何ステップ調べるかを表す長さ H は、4, 8, 12, 16, 20, 24, 28, 32, 40, 48, 64, 80, 96, 128 の14通りに固定した。前半の指標には、remaining_K、steps-to-1、総軌道長、terminal suffixなど、最終到達に関する情報を使用していない。feature側 leakage flag count: 0

調べた問いは一つだけである。後ろの有限区間で観測された動きの違いが、軌道の前半から計算した指標にも一部現れるか。

04入力と重なり

表2 · 出所・照合・実際に比較した部分集合
構成要素出所・キー件数
前半の指標を比較する簡易監査seed 1–10、discovery 5,000 / validation 5,000、bootstrap 50回5 target × 3 記述子 × 14 H
現在値を共通基準にした影響の確認seed 1、同一 sample、新規標本抽出なし差分 28 / 28 一致
接続用データの行数exit_neighborhood_per_trajectory.csv104,272
接続用データとWaiting Hall分類で一致したevent keysample_id + trajectory_id + event_index74,116
前半の簡易監査サンプルとの重なり実際の比較に使えた、接続確認済みのキー532
H展開後の照合行532 keys × 地平3,382

過去のWaiting Hall分析で作成した分類データとは、74,116件のevent keyを接続できた。ただし、軌道の前半との比較に実際に使えたのは、簡易監査サンプルと重なる532件だけである。この532件は、14通りの長さ H に展開すると3,382行になる。
以下の結果は、すべてこの重複部分だけを対象としている。新しい標本の追加や抽出は行っていない。

05主な結果

4.1  軌道の前半から計算した指標の比較

軌道の前半から計算した3つの指標を比較すると、調べた5つの未来指標すべてで cumulative_log_drift が最も強い対応を示した。

表3 · ターゲットごとの最良prefix側記述子(validation)
有限未来ターゲット最良prefix側記述子安定Hvalidation R² 中央値
future_above_start_dwellcumulative_log_drift14 / 140.396
future_record_updatecumulative_log_drift14 / 140.369
future_max_log_drawdowncumulative_log_drift14 / 140.205
future_net_log_changecumulative_log_drift14 / 140.162
future_drop_below_startcumulative_log_drift11 / 140.045

符号方向は一貫している。prefix局所ドリフトが高いほど future_net_log_change は低く(negative share 0.99)、future_max_log_drawdown は大きい(positive share 0.99)。future_drop_below_start は弱く、後回しである。

4.2  現在値を共通の基準にした影響の確認

前半の指標と未来指標は、どちらも現在値 nt を基準にしている。そのため、同じ基準を使っただけで対応が生じた可能性を調べた。未来区間の内部だけで計算する形に変えても、ドリフトとの対応はほぼそのまま残った(ほぼすべての H で絶対trend比 ≈ 1)。

表4 · 記述子 × ターゲット族ごとの結合判定(14地平)
記述子 × ターゲット族 future-only化での減衰 matching後も
残るH
near-zeroでない
残差H
null の
外側
最終ラベル
cumulative_log_drift × net_log_change little 14 / partial 0 / lost 0 8 / 1413 / 1410 / 14 persists_beyond_shared_reference
cumulative_log_drift × max_log_drawdown little 13 / partial 1 / lost 0 8 / 1413 / 1411 / 14 persists_beyond_shared_reference
above_start_dwell × net / drawdown 1 / 012 / 139 / 9 unresolved
record_age × net / drawdown 0 / 013 / 1312 / 11 unresolved

したがって、net change / drawdown 族については、共有参照点だけでは説明として十分ではない。他の2記述子は unresolved のままであり、中心的な解釈対象とはしない。

4.3  後ろの有限区間で観測された動きとの照合

表5 · 3,382行の重なり部分集合における trajectory_behavior_class 別の群平均
後ろの有限区間で観測された動きの分類 重複を除いたevent数 行数(H展開) cumulative_log_drift
平均
future_net_log_change
平均
future_max_log_drawdown
平均
drift_down4903,029−2.72−3.174.37
mid_band_wait_then_drop30268−2.59−1.324.02
no_exit_layer_observed10630.02−5.646.55
direct_to_exit2220.29−1.302.75
表6 · drift_down と他群すべてとの差
drift_down − 他群方向
cumulative_log_drift−1.963基準となる入口側軸(低い)
future_net_log_change−0.416同方向
future_max_log_drawdown−0.071unresolved — 一貫して同方向ではない

判定は partial_prefix_shadow(前半に現れる部分的な影)である。後ろの区間で下降傾向を示した drift_down の軌道では、前半の指標と、その後の正味対数変化の両方が低かった(fold-wise stable rows: 15)。一方、最大drawdownでは同じ対応が一貫しなかったため、分類全体が前半だけで見えるという判定ではない。

06結果の読み方

07調査上の限界

08この結果が意味しないこと

09監査・CSV・コード

表7 · 本要約の元となった成果物
ファイル段階内容
future_behavior_target_light_audit_README.md軽量監査設定:seed、bootstrap回数、記述子、ターゲット
light_target_summary.csv軽量監査ターゲットごとの最良prefix側記述子と R²
light_observation_target_summary.csv軽量監査記述子 × ターゲットの全組、安定H数、符号share
light_full_run_recommendations.csv軽量監査標準版を回す場合の粗い優先順位
reference_coupling_reuse_audit_README.md結合監査再利用設定、seed 1、result-diff 不一致 0
coupling_attenuation_by_H.csv結合監査H別の original vs future-only trend、減衰ラベル
matched_current_state_summary.csv結合監査matching後の current-state セル内 trend
reference_coupling_verdict.csv結合監査記述子 × ターゲット族ごとの最終ラベル
waiting_hall_bridge_prefix_alignment_README.mdbridge監査bridge key、一致件数、判定
waiting_hall_bridge_join_manifest.csvbridge監査出所ファイル、join key、一致行数
waiting_hall_bridge_group_alignment.csvbridge監査全 waiting-hall ラベル列についての群平均
waiting_hall_bridge_alignment_verdict.csvbridge監査partial_prefix_shadow 判定と群間差

このレポートでは既存の簡易監査結果を再利用した。標準版の追加実行、新しい未来指標の追加、bootstrap回数の増加、Waiting Hall分類の変更は行っていない。

10参考用語