コラッツ予想の数の旅を観察してみよう

コンピューターで数の動きを見つめた、観察の記録です。

1. コラッツ予想とは?

ある数から出発して、次のルールを何度もくり返します。※

  • その数が偶数なら、2で割る
  • その数が奇数なら、3倍して1を足す

すると、どんな数から始めても、最後は必ず1にたどり着くのだろうか。これがコラッツ予想です。

たとえば6から始めると、こうなります。

6 → 3 → 10 → 5 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1

たくさんの数で試すと、いつも1になります。けれども「すべての正の整数でそうなる」ことは、まだだれも確かめきれていません。

※数= 0より大きい正数。自然数ともいう。

研究での書き方について 研究では、計算を見やすくするため、途中の「2で割る」操作をまとめて記録することがあります。そのため、記録には奇数の場面だけが並ぶこともあります。ルール自体は上と同じです。

2. 今回は何を調べたの?

今回の資料は、コラッツ予想を解こうとしたものではありません。数がどんなふうに動いていくのかを、コンピューターでたくさん集めて観察した記録です。

  • 数が通っていく道を、地図のように書き出す
  • どの場所なら、数の特徴が見えやすいかを調べる
  • 数がいる位置と、その場での動き方を組み合わせて調べる
  • 似た動きをする数どうしを、グループに分ける

この研究グループでは、こうした観察を、いくつかの別々の方法で行っています。使ったデータも、数え方も、その都度ちがいます。

この先で出てくる言葉

状態空間
数の状態を並べた地図のようなもの。
座標
数の状態を見るための、ものさし。
軌道
1つの数がたどった道筋。
境界
ある範囲から、次の範囲へ移る場所。

3. 見方を変えると、特徴の見え方も変わる

ここがこのページで一番大事なところです。

同じ数の動きでも、どのものさしで見るかによって、見えやすい特徴が変わります。資料では、たとえば次のような見方が使われています。

おもな「見方(ものさし)」
見方どういう意味か
区切りの出口までの距離
(exit_distance)
いま数がいる場所が、区切りの出口からどれくらい離れているか。
まだ残っている変化量のような目盛り
(remaining_K)
これから先の変化がどれくらい残っているかを表す目盛り。
その一歩で、2で何回割れたか
(transition_k)
1回の動きが、どれくらい大きな変化だったか。
割った余りから見た数の形
(residue)
数を割ったときの余りに注目した、その場での「形」。
道筋のはじめの部分
(prefix)
スタートから今までの動きだけを見た情報。

さらに、こんな見方のちがいもあります。

  • 数がどの範囲からどの範囲へ移ったかを見る
  • 直前にどんな変化が続いていたかを見る
  • 道筋を最初から見るか、最後からそろえて見るか
  • 1つの特徴だけで見るか、2つ以上を組み合わせて見るか

どの見方も、数そのものを変えるわけではありません。見え方が変わるだけです。

4. 観察から見えたこと

ここに書くのは「観察されたこと」であって、「証明されたこと」ではありません。

  • 数の動きは、区切りの近く奥の方で、ちがう様子が見られました。
  • ある特徴は、1つの情報だけではきれいに分けられませんでした。
  • 「どこにいるか」と「どんな動きをしているか」を組み合わせると、分類しやすくなる場合がありました。
  • 数の道筋には、枝分かれして見える場所や、再び似た道に集まる場所がありました。
  • 道筋の短い部分だけを見る方法には見分ける力がありましたが、数の動き全体を完全には再現できませんでした。
  • 過去の動きだけから計算した特徴と、そのあとの短い未来の動きに、部分的な関係が見られました。

研究の大きさの感じ

これらは、それぞれ別々の実験で調べられたものです。数字を足し合わせたり、同じ実験のものとして比べたりはできません。

  • ある観察では、約7万件の記録を調べました。
  • そのうち、注目された特別な記録は228件でした。
  • 別の観察では、550本の数の道筋を調べました。
大事なこと どれも「観察したデータの中で見えた特徴」です。原因や法則が見つかったわけではありません。

5. 数の旅を、ざっくり図にすると

注記 これはイメージの図です。実際のすべての数が必ずこの形を通る、という意味ではありません。

6. たとえ話:駅と路線

数の旅は、電車の路線図にたとえると想像しやすくなります。

たとえの対応
数の世界電車のたとえ
数の状態
1回の変化次の駅への移動
数がたどった道路線
数が集まりやすい範囲大きな駅
枝分かれが多い場所乗り換え駅
似た道へ戻ること路線が合流する

研究では、「どの駅にいるか」だけでなく、「その駅でどんな乗り方をしたか」も一緒に見ると、似たもの同士をまとめやすくなる場合がありました。

注記 これはあくまで説明のためのたとえです。数が本当に駅を通っているわけではなく、たとえを理由や原因として使うことはできません。

7. 大切な注意

  • この研究はコラッツ予想の証明ではありません。
  • コラッツ予想の反例を見つけた研究でもありません。
  • コンピューターで調べた、有限個のデータを観察したものです。
  • 観察された分類や境界が、すべての整数に当てはまるとは限りません。
  • 「関係が見えた」ことと「原因が分かった」ことは、別のことです。

また、資料ごとに使っているデータも、ものさしも、数え方もちがいます。ちがう実験の数字を、そのまま比べることはできません。

3つのポイント

  1. 数の動きは、見方を変えるとちがう特徴が見えてくる。
  2. 場所と動き方を組み合わせると、分類しやすくなる場合がある。
  3. 今回は有限(限られた数)のデータの観察であり、証明ではない